雲雀くんが風邪を患ってしまったそうです!というのも副委員長・草壁さんから聞いたお話なのだけども。ご自宅で療養されているとの事でしたので、学校帰りにスーパーに寄って林檎を買って、何度か行ったことのある雲雀くんのご自宅へ向かっています。 * * * 「何、しに来たの」 雲雀くんが弱々しく私に尋ねる。あぁ無理なさらないで下さい…!というか寝間着は浴衣なのですね!熱のせいなのか色っぽいのですがどうしましょう私!などと、やましい事を考えていると雲雀くんに熱で潤んだ瞳で睨まれる。そんな瞳で睨まれても怖くなんてないのに。 「雲雀くんが風邪を患われたとお聞きしたので」 「敬語」 うわっまたやってしまった…!雲雀くんって呼ぶのは大分慣れたんだけどなぁ。誰にでも敬語を使ってしまうのが癖で、雲雀くんから直すように何度も言われてたのに。「僕と話す時だけはやめてよね。…君、僕の恋人なんだろ」っていう世界中の女子が舞い上がってしまうような言葉を言われたのに…!ちゃんと直しま…直すね!雲雀くん! 「すみませ…あ、ごめんなさい」 「で?」 「雲雀くんが心配でお見舞いに…あ、林檎持ってきたの。食べれ、る?」 こくり、と小さく頷いたのを確認してお台所へ向かう。果物ナイフとお皿とフォークを取り出して(何だか夫婦みたいで嬉しい)林檎を剥く。雲雀くんは嫌かなぁと思ったけど、雲雀くんの気持ち和むかもということでウサギさんの形に剥いた。そういえば、食器ない。ご飯食べてないのかなぁ、だとしたらお薬も飲んでないだろうし…。 「ウサギさんでも良かった、かな」 「ん…」 シャリシャリと林檎を咀嚼する音がする。嫌だって言われなくて良かった。そういえば雲雀くんは小さなものが好きみたいだし。黄色い鳥さんや綱吉くんのとこのリボーンちゃんが良い例だ。うんうん、確かに可愛い。 「雲雀くん、朝からご飯食べてないでしょう…お薬も」 「うん、寝てた」 雲雀くんは自立する為と言って一人でマンションに暮らしている。自炊もする。前にご馳走になった夕飯は本当に美味しかった。でもその彼が熱を出して寝ていたのだから当然の話で。ちゃんとお薬飲まないと良くなるものも良くならないよ。 「お粥作るので、お薬も飲んで下さい。治りませんよ、風邪」 そんなわけでお粥を作ったり雲雀くんに食べさせたり(私人生で初めて男子に「ふーふー、あーん」みたいな事しました!実際そんな言葉は言えなかったけど!)して、ちゃんとお薬も飲んでくれたので眠たくなると思って「じゃあ私はこれで…」と言って立ち上がろうとした。が、雲雀くんが足首をがっしりと掴んでいて立ち上がれなかった。 「」 きゃー!そういえば今日名前呼ばれたの初めてだ!そりゃあそうですよねぇ、雲雀くん今日学校をお休みしたんだもの!うわぁ、いつもよりちょっと掠れた声にドキドキしてしまう。喉痛いのかなぁ。雲雀くんの方に膝を着いて様子を伺う。普通に眠そうなんだけどなぁ…。 「どうしたの…?」 「おいでよ。一緒に寝よ…」 そう言うやいなや雲雀くんは私を布団の中に引きずり込んでぎゅうぎゅうと抱きしめながら眠りに落ちてしまった。(私制服なのに…!)身動きが取れなかったので抜け出すことを諦め、私も眠ることにした。お母さんに雲雀くんの看病に行くって連絡しといて良かったなぁ…。 * * * 翌朝、スッキリした顔をしている雲雀くんに対して熱で真っ赤になっている私がいたことは内緒のお話、ですよ。 「ひ、雲雀くん…ごめんね」(何でだろう…) 「いや、僕がうつしたんだから気にしないで寝てなよ」(が寝てる間にキスしてたのが悪かったかな) でも雲雀くんが看病してくれて、普通の寝間着(黒いシャツ型のパジャマ)を貸してくれて、挙げ句の果てには制服にアイロンをかけてくれました!やっぱり雲雀くんのお料理はたとえお粥でも美味しかったです。 (080114.瑶子) |