「・・・・・・・・。」













冬空の下。



はただただ彼を待っていた。



指先は寒さでもう感覚がない。










来たらなんて言おうか。



遅い!とか、なんかあった?とか。










そんなことを考えながらは一週間前のことを思い出していた。






































「えっ・・・・。恭弥が・・・イタリアに・・?」




「わりィ。恭弥からは口止めされてたんだが・・・。やっぱりが知らないのはどうかと思ってな。」














リボーン君とコーヒー仲間の私は、街中で最近知り合ったディーノさんに呼び止められた。



そして告げられたのは、恭弥がイタリアへ行くということ。













「っ・・・・。・・・今すぐじゃ、ないんですよね・・・?」







「あぁ。一週間後の夕方の便で行くそうだ。」







「一週間・・・後・・・?」














うそ・・・。だって、一週間後は一緒に出かけようって・・・・。














呆然としている私に、ディーノさんが申し訳なさそうな顔をした。
















「ホントに悪い!。」








「いえ・・・。ディーノさんが悪いんじゃないんです。何にも言ってくれなかった恭弥も恭弥ですから。気にしないでください。」












そう言って、精一杯笑う。




それを見たディーノさんは苦笑し、その後、私を家まで送ってくれた。




















その次の日も、そのまた次の日も、恭弥は何も言わなかった。




ただ違ってたのは、いつもより傍に居たことだろうか。


















「恭弥・・・・。」







「何?」








「・・・・ううん。やっぱりなんでもない。」








「・・・・・?」

















そして私も何も聞けなかった。



聞こうとしても、結局は言葉にならず消えていく。



そんなもどかしいことをしている間に、とっくに一週間が経ってしまった。



























「・・・・・もうすぐフライトの時間か。」
















馬鹿な女よねと自分で思う。




でもね。少しだけ・・・・少しだけ期待してるの。




もしかしたら、恭弥がイタリア行きより、私を採ってくれるかもしれないって。















はぁ、と何度目かの白い息を吐いたとき、携帯のバイブが鳴った。




相手は・・・・・・



















「はい。もしもし。」






かい?僕。』






「どうしたの恭弥。いつもなら恭弥が私を遅いって怒るのに。2時間の遅刻だよ?」






『・・・・ごめん。急に行けなくなったんだ。』


















あぁ。神様。彼は、私を採ってはくれなかったよ。


















「あっ。やっぱり?これだけ来ないんだもの。なんか用事が入ったのかなって思ってそろそろ帰るつもりだったの。」






『・・・ごめん。』







「気にしないで!私が勝手に待ってただけだから!また今度、行こうね!」







『・・・・・・うん・・・。』







「それじゃあ、・・・・・またね。」

















ぷつっといとしい人の声が切れ、聞こえるのは電子音。











うそ。【今度】なんてないくせに。







【また】なんてないくせに。







ホントは全部、知ってるの。








もう日本に帰ってくるのは少ないって。








帰ってきても会えないって。


























それでも私はこの愚かな約束をずっと信じていくんだろう。
















(きっとこの涙は、騙し合った罰なのね。)





















Emotion of Love】様に提出!お題はh a z y様より。

参加させていただき、ありがとうございました!